安全保障関連法案の徹底審議を求める意見書の採択に関しての賛成の立場から討論をおこないました

平成27年6月26日、本会議場
意見書に対する賛成討論・・・・・・2番伊藤勝美

安全保障関連法案の徹底審議を求める意見書の採択に関しての賛成の立場から討論をいたします。

1972年、集団的自衛権についての憲法解釈を取りまとめた政府見解には、次のように記述されております。 「わが国が、国際法上集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然といわなければならない。しかしながら、だからといって、平和主義を基本原則とする憲法が、自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない」

「あくまでも外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の擁利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの擁利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」

「わが憲法の下で武カ行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない」と、いわゆる「集団的自衛権の行使」について、誤解の生じる余地もなく、明快に政府見解が示されています。

また、1999年2月9日の衆議院安全保障委員会で答弁に立った高村正彦外務大臣(当時)が、やはり、明確に、誤解の入る余地が皆無である表現で次のように答弁しています。

(高村国務大臣)
 「国際法上、国家は個別的自衛権に加えて集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利を有しているものとされています。我が国が国際法上このような集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であり、日米安保条約前文も、日米両国がこのような集団的自衛の固有の権利を有していることを確認しているところであります。

しかしながら、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、我が国の憲法上許されない、こう考えております。」と述べており、

さらに、高村大臣は、「主権国家でありますから、国際法上主権国家に当然認められている自衛権、これは個別的自衛権だけじゃなくて、集団的自衛権も有しますが、日本国国民自身が、みずからの憲法をつくって、それは行使しないと、その集団的自衛権の方は行使しないと決めたわけでありますから、当然日本国政府はそれに縛られる、こういうことだと思います」と述べております。

政府見解は、自衛のための措置を講じることができる場合を具体的に列挙したのではありません。日本が直接、外国から武力攻撃を受けた際の個別的自衛権の発動については、三要件を満たす範囲でこれを認めるとしていますが、「他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使」については、「憲法上許されないといわざるを得ない」としているのであります。

つまり、主権国家として集団的自衛権を有してはおりますが、
「日本国国民がみずからの憲法をつくって」
「集団的自衛権の方は行使しないと決めた」のでありますから、

「当然日本国政府は憲法に縛られる」ということになるのではないでしょうか。

現政府がいま行使を容認しようとしている行為が、「国際法上の集団的自衛権の行使にあたる」としながら、この集団的自衛権の行使が、日本国憲法に反しない、合憲であると主張しております。

しかし、このような主張を押し通すようでは、「立憲主義」を基本とする日本の政治の根幹が崩れ去るのではないでしょうか。

なぜか、いうまでもありませんが、
「立憲主義」とは、
政治権力が暴走しないように、
政治権力が主権者の主権を踏みにじらないように、
政治権力の行動は憲法によって縛られる。

という考え方です。

当然「日本国政府は憲法に縛られる」ということであります。

日本政府は1972年に政府見解を公表し、爾来、40年以上にわたってこの憲法解釈を維持してきました。 当然のごとく、「憲法を改定せずに、この憲法解釈を変更することは許されない」ということであり、憲法解釈を変更して、集団的自衛権の行使を容認することは、事実上の憲法改定になるのではないでしょうか。

また、憲法改定の手続きを経ずに、憲法の内容を改定することは、「立憲主義の否定」であると同時に、「違憲行為」でもあると考えます。

先般、衆議院の憲法調査会が招致した3名の憲法学者が全員、「違憲判断」を示したことも重大であります。それから、ほぼすべての憲法学者が現政府の集団的自衛権行使容認の安保法制を「違憲立法」であると断じております。

また、本年6月22日に、衆議院平和安全法制特別委員会は、安全保障関連法案をめぐり参考人質疑を実施しましたが、元内閣法制局長官の宮崎礼壹(れいいち)は、「行使容認は限定的なものも含めて憲法9条に違反しており、法案を速やかに撤回すべきだ」と明言し、同じく元内閣法制局長官阪田雅裕氏は「中東・ホルムズ海峡での機雷掃海はこれまでの政府見解を逸脱している」と指摘して、両氏は集団的自衛権の行使を可能とする法案を批判しております。

それから、共同通信社が本年6月20、21両日に実施した全国電話世論調査によりますと、安全保障関連法案が「憲法に違反していると思う」との回答は56・7%に上り、「違反しているとは思わない」は29・2%です。安全保障関連法案に「反対」は58・7%で、5月の前回調査から11・1ポイント上昇し、「賛成」は27・8%であり、この法案に対する国民の根強い疑念が浮き彫りになった形だと報じられております。

このように、この法案に関して国民の多くは、これまでの経緯を詳細に知り、内容を理解しないと、判断できないのではないでしょうか。

過日、通常国会の会期が9月27日まで95日間延長されました。
安保関連法案が衆議院で可決された場合、参議院が60日以内に議決しないときには、参議院が否決したものとみなし、衆議院で3分の2以上の賛成で再可決すると法律案は法律となります。政府は、大多数の憲法学者が違憲であると断じ、主権者の多数が法律制定に反対している安全保障関連法案を強引に成立させようとしています。

以上のことから、国民の多くが心配し、疑念を持っているこの法案の成立を急ぐことなく、国会において慎重かつ徹底した審議を行うよう求めることは当然であり、党派を超えた国民の総意に沿うものであると考えます。

よって、安全保障関連法案の徹底審議を求める意見書の採択に賛成いたします。議員の皆様のご賛同をお願いして賛成討論を終わります。

*本会議での採決結果、賛成7名、反対10名(議員18名、議長除く)で否決されました。

賛成議員
伊藤勝美、澁谷政義、安藤佳生、水落孝子、沼倉啓介、制野敬一、佐久間儀郎

反対議員
山田裕一、管野恭子、平間知一、四竈英夫、小川正人、佐藤英雄、大野栄光
大町栄信、山谷清、志村新一郎

議長:保科惣一郎

{伊藤勝美コメント}

安全保障関連法案は「戦争法案」と呼ばれている。集団的自衛権の行使を容認するということは、すなわち、米国が創作する戦争に日本が全面的に加担させられることを意味することになるのではないだろうか。この政策法案を是とするのか、否とするのか。判断するのは日本の主権者である。

「戦争」推進に反対する。集団的自衛権の行使は容認しない。この基本を堅持しなければならないのではないか。

日本政府は憲法解釈として、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と明記してきた。その集団的自衛権の行使を、憲法改定の手続きを経ずに実行することは絶対に許されない。

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