令和4年第459回定例会

第77号議案・白石市国民健康保険税条例の一部を改正する条例について、反対の立場で討論をしました。

◯それでは早速、ただいま議題となっております第77号議案・白石市国民健康保険税条例の一部を改正する条例について、反対の立場で討論いたします。
 今回の改正は、将来的な宮城県の国保料水準の統一化を見据えつつ国民健康保険財政の健全化を図るため、国民健康保険税の改定が必要なことから条例の一部を改正するものとされております。
 改正案の内容も、医療給付費分、均等割を現行の2万2,800円から2万3,000円にすることや後期高齢者支援金分の所得割を現行2.1%から2.8%に引き上げること。また、均等割を7,200円から9,600円への引上げや、平等割を5,400円から7,000円へ、介護納付金分の所得割を1.8%から2%への引上げ、均等割を8,400円から9,400円へ、平等割を4,200円から4,800円へと引き上げる内容となっております。
 現在、本市の経済状況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響も大きく、さらに、昨今の急激な諸物価の高騰もあり、市民生活は大変厳しくなっております。
 そのような中、今回の国民健康保険税の改正による保険税の値上げとなれば、国保に加入している多くの被保険者は経済的に大きな影響を受けることになると考えます。なぜなら、本市の国保の加入者の構成を見てみれば、その多くは、会社を退職なされた方が多く、また、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けていると思われる自営業者や農業者の皆さんなど、比較的所得の低い方々となっております。
 このような方々のことを考慮し、現在の経済状況等を鑑みると、保険税額を現状において引き上げることは到底できないものとして考えざるを得ません。
 また、収納率の目標についても、本市において、ここ数年の国保税の収納率は93%前後となっておりますが、改正案によると、本市は、今後、収納率を95.5%に高めなければなりません。さきの議会答弁により、職員の皆さんの大変なご努力により、前年同期比では収納率に改善の兆しが見えていることは十分に理解しているところであります。しかしながら、厚生労働省から公表されております保険者努力支援制度の集計結果の評価点を見てみますと、県の示す第2期国保運営方針に基づく評価点、収納率については、令和3年、そして令和4年、連続で100点満点中零点となっております。市の国保納付金額に直接影響する大きな課題となっていることは明らかであります。
 今回の改正による保険税額の引上げとなれば、収納率の低下も懸念され、さらに、保険税を納めたくても納められない被保険者に対し、督促のみならず、差押えなどの対策強化が取られることも危惧されるところであります。
 そして、今回示された収納率向上の対策では、職員の皆さんの努力をしてもなお、劇的に収納率の向上につながるような効果的な対策を取ることは非常に難しいものとなるのではないでしょうか。
 最後に、宮城県の健康保険料水準の統一の目標は、今議会の答弁においても令和12年とされております。国保県単位化では、3年ごとに県国保運営方針が示され、現在第2期目、来年度、第3期目運営方針に向けた議論が行われます。統一水準目標がこの第3期運営方針に盛り込まれるかは分かりませんが、答弁どおり令和12年であれば、あと8年、県方針も第3期、第4期と2回運営方針の議論を通じて、第5期で実施という理解となります。今後、保険税の引上げが必要になった場合においても、市民の皆さんの負担軽減を図るため、保険税の段階的な引上げや保険税の軽減世帯等の現況調査を実施するなど、被保険者の実態調査の把握に努めていただくことを切に願うところであります。
 このまま条例を改正することとなれば、本市、国民健康保険制度は維持できても、国保の被保険者の生活が成り立たないといったことが危惧されるのではないでしょうか。繰り返しになりますが、本市の国保加入者世帯の多くが、所得が少ない高齢者・無職者であり、国保加入者の5割を超えております。国が定める所得が少ない世帯への保険税軽減も、県平均約50%前後を超え、60%台後半の割合となっていると聞き及んでおります。新型コロナウイルス感染症及びコロナ禍におけるエネルギー・食料品価格等の物価高騰は、事業者のみならず、多くの市民に悪影響を及ぼしている現状があるにもかかわらず、なぜそのような方々が対象となる保険税引上げを行うのか。被保険者の理解が得られるのか、甚だ疑問でなりません。ましてや、今回の税率引上げは、一気に統一保険料水準まで保険税を引き上げるような格好となり、市が示す平均値を大幅に上回る負担増になるケースもあると考えられます。
 今回、財政状況の改善、保険料水準統一などの説明で、今後の被保険者数の見込み、医療費の見通し、財政調整基金の見通し、1年で収納率95.5%に取り組むための納得できる具体的な内容はほぼ明らかにされず、そして示されず、保険税の大幅増の未来だけが示されております。
 私たち議員としては、市民に納得できる説明を果たすことは到底できません。ここにいる同僚議員の誰もが、被保険者へこれまで以上の負担を求める国保税引上げをよしとしているとは思いません。委員会では4対3で賛成可決されましたが、しかし、本会議の採決に当たって、ここにいる議員各位が、本当に市民の皆さんに対して説明責任が果たせるのか、ぜひいま一度ご再考いただき、良識あるご対応をお願い申し上げる次第でございます。
 以上のことから、第77号議案・白石市国民健康保険税条例の一部を改正する条例には反対といたします。議員各位のご賛同をお願いいたしまして、反対討論を終わります。

●採決の結果、賛成8、反対8の同数により、議長裁決により原案可決

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