令和4年第454回定例会

第19号議案・令和4年度白石市一般会計予算案について、反対の立場で討論をおこないました。

◯ただいま議題となっております第19号議案・令和4年度白石市一般会計予算案について、反対の立場で討論いたします。
 先般表明された施政方針でも述べられておりますが、新型コロナウイルス感染症が全国で猛威を振るっております。本市においても感染拡大により、市民の健康や生活、地域経済活動など、あらゆる面において甚大な影響を及ぼされている状況にあります。
 しかし、それらに対応すべく様々な支援策を予算案に傾注されていることは理解するところであります。そして、感染症収束の見通しのない状況において予算編成に当たられました理事者並びに職員の皆様方に、心から敬意を表します。それから、市民の暮らしと経済における感染症の影響を最小限に食い止めるべく、ワクチン接種事業の積極的な推進が図られ、その取組は、市長を先頭に市職員一丸となって進めていることは、感謝の言葉だけではなし得ないものと思っております。
 そのような中にあって、市民の安心・安全の実現には不可欠とも言える、公立刈田綜合病院に係る物事について指摘をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、2町との信頼関係についてでございます。
 本年3月3日の一般質問で同僚議員から、刈田病院をめぐり、蔵王・七ヶ宿町長との信頼関係修復について尋ねられ、市長は、「両町長とは、刈田病院を存続させるための政策については、現時点では一致しておりません。それぞれの立場で考えを持っており、白石市の考えを理解していただくために現在も協議を継続しているところではございますが、このことで信頼関係が大きく揺らいでいるとの認識はありません」と答弁されております。この答弁を聞き、本当だろうかという疑念を抱いたのは、私だけではないのではないかと思いました。
 振り返ってみても、この1年、突然の指定管理者制度を導入できる条例案の提出、専決処分での迷走や、言った・言わないなどから正副管理者会議での議事録を取ることになったことなど、信頼関係以前に、不信感が表面化したと受け取れる事案が多数見受けられました。
 このように1市2町の認識の違いや信頼感のなさが、現在の刈田病院経営をめぐる対立の根深い本質の一つにあるのではないでしょうか。やはり、刈田病院の問題解決に向けた議論については、正確な事実の共有が課題解決の一歩となることから、物事の事実を共有した上でしか、今後における白石市議会や一市二町組合議会でも議論が進まないことをあえて指摘させていただきます。
 次に、本年2月14日の白石市長定例記者会見についてですが、刈田病院の来年度当初予算で、繰出金額は白石市9億円、1市2町で10億3,800万円と述べられております。このことは、2018年度から一挙に繰出金を激減させ、医業収入も上げられず、病院経営は借入れを余儀なくさせてきました。山田市長の公設民営化推進手法のツケが回ってきたと言えるのではないかと考えます。
 また、本年1月23日の刈田病院に係る住民説明会での資料の中に、2022年度構成団体繰出金額は19億7,000万円と記載されておりますが、この予算では到底賄い切れないということをあえて表明したにすぎないと言わざるを得ません。
 それから、会見の中で山田市長は、2町長から、当初予算で大きな数字を出す姿勢が重要とのお話があったが、私は姿勢より中身が重要と返答したことも明らかにしております。現在の医師確保ができず、医業収益改善を放置したままの手法では、中身が重要だと言われても、医業収益改善の中身がないのでは、どうしようもないと思うしかありません。
 また、会見の前段で山田市長は、一気に好転することは難しいと述べておりますが、誰が見てもそのとおりだと考えております。やはり、今の市長の考え方や対応の仕方を変えない限り、徐々にでも好転は難しいのではないかということを指摘させていただきます。
 次に、刈田病院に係る住民説明会での資料についてでございます。
 本年1月23日の刈田病院に係る住民説明会での資料の中には、民間医療法人に任せれば、繰出金としての負担額が、年度を追うごとに19億7,000万円、9億6,000万円、8億3,000万円と激減するということが記載されております。どのような医療法人を想定しているのか分からないまま、民間医療法人どこが受け入れたとしても、この数値は賄えられると山田市長は説明されておりました。本当にそうなんでしょうか。市民からも疑問の声が上がっております。単純に民間に任せればばら色の世界がという発想は、聞いていて不信感を抱かざるを得ないのではないでしょうか。
 さらに、プロポーザルによって複数の医療法人が手を挙げた場合には、数値もよくなるとも説明されております。しかし、どこも手を挙げなかった場合は、そして委託先が見つからなかった場合は一体どうなるのでしょう。市民の不安が増すばかりではないでしょうか。
 また、住民説明会で、お産、救急、訪問看護など市民のニーズに合った地域医療を展開すると、ばら色の世界をうたっておりましたが、これだけの要望を受け入れられる民間医療法人が見つけられるのか甚だ疑問でもあります。仮に指定管理者制度を導入したとしても、やっぱり医師が見つけられなかったといって、市民ニーズに応えられなくなったとの話にもなりかねないのではと、とても不安になります。
 ちなみに、山田市長が以前言っていた、委託先として考えていたボランティア派遣の医療法人のホームページを見た限り、周産期に関わる診療科目は残念ながら見つけることはできませんでした。
 それから、説明会資料に不思議な点もございました。刈田病院をめぐっては、昨年末をもって病院組合を解散するとしたことを決め、正副管理者及び構成副市長、副町長の6名で、解散に向けた10項目の作業を行っているようです。
 しかし、資料の中に、公設公営・公設民営化の財務上の比較のページがありますが、議論となる双方の記載内容には構成団体と記され、一市二町組合での運営であるように受け取れます。組合を解散して市立病院にすると言ったのに、一体どういうことなんでしょうか、不思議な説明資料だったことを指摘させていただきます。
 次に、公立刈田綜合病院運営検討委員会についてでございますが、2021年5月に設置された公立刈田綜合病院運営検討委員会は、同年8月、病院臨時議会に、病院運営の抜本的見直しを求める中間提言を提出されております。
 提言内容の説明もあった中で、一昨年12月に続き、公設民営化できる条例改正案が再度提案されましたが、議会では2度目として否定となっております。その後、運営検討委員会の会合は開かれていないとの話も聞こえております。
 委員会の招集は座長が行うものとなっておりますが、委員任期が今月末に迫る中で、運営検討委員会の最終的な報告をいつ出すのか、そして見通しはどのようになっているのか甚だ疑問に思います。
 結果的には、この委員会設置も、山田市長の唱える民営化推進手法の綻びを示すことになってしまっていることを指摘させていただきます。
 それから、医師の確保についてでございます。
 山田市長は、経営を民間に委ねる公設民営化を導入すれば、民間医療法人の経営ノウハウを活用して全国から医師を集めたいとおっしゃっておりました。が、何のために都道府県ごとに大学医学部が設置されているのか、そして、地元宮城県の東北大学や東北医科薬科大学を無視するかのように全国から医師を集めるなどという言葉は、本当に説得力がないものと思います。
 それから、昨年、医師確保については、経営コンサルを頼りに1,100万円もの業務委託契約をされております。医師紹介業務として、委託者に医師5名以上を派遣するなど6項目あります。医師紹介契約内容は、令和4年3月末までに5人を紹介すること、令和4年3月末に医師5人が派遣されていることのどちらだったのか、今もって理解に苦しみます。
 ボランティアの先生方4名が去ってから半年を経過いたしますが、医師の補充はされず、契約期間が終了しようとしております。一体この1,100万円の多額の委託契約は何だったのか、疑問が残るばかりであったことを指摘させていただきます。
 次に、地域医療構想についてでございます。
 東北大学の協力を得て、宮城県が後押しする国認可の中核病院との地域医療構想は、刈田病院が公設公営であることが前提となっていると理解しております。そのため、山田市長が刈田病院の民営化を進めている現在において、計画にある診療科・看護師数の削減は確かに達成しておりますが、医師数が全然足りず、医業収入が激減している状況にあります。中核病院との連携協議は進んでいないと私は推察しております。
 また、山田市長は、公設民営であっても地域医療構想を進めている他の事例があると主張されておりますが、そのためには、現在認可されている地域医療構想を取り下げ、新たに地域医療構想を申請する必要があると私は考えております。
 しかし、民営化された刈田病院では、東北大学の協力を得ることはなく、結果として中核病院との地域医療構想は白紙になるものと想像いたしております。つまり、指定管理者制度による民営化をされた場合でも、国認可の重点支援区域としての中核病院との地域医療構想を存続させることは、困難な状況になるのではないかと危惧していることを指摘させていただきます。
 次に、刈田病院に対しての白石市、蔵王町、そして七ヶ宿町の一部の住民の声として、ここで紹介をさせていただきます。これは、市長への手紙ということで、市長も多分ご覧になっているかとは思うんですが、とりあえず四、五紹介したいと思います。
 1つ目、先日、子供が夜中に高熱を出し、熱性けいれんを起こしました。救急車を呼びましたが、刈田病院も中核病院も受入れが困難とのことで、熱性けいれんを起こしてから1時間半後、仙台の病院に搬送されました。いつも行っている病院なのに受け入れてもらえなかった、何のために病院があるのだろうかと。これでは、助かる命も助けられないのではと怖くなりましたということです。
 次に、今、刈田病院に通院している患者の中には、いろいろな理由や思いがあり、先生たちを信頼して通っているのに、次々と病院を去る先生がおり、患者が一番困っています。患者を助ける病院が逆に困らせて、山田市長は一体何がしたいのでしょうか。
 次、宮城県、東北大学、中核病院とのすばらしい連携こそ、市民の命と健康を守ることができます。今までは、救急車に乗れば刈田病院に搬送でしたが、今は岩沼、仙台、それでも手配がつかず時間が過ぎるばかり、これが今の白石の現状です。医療が信頼できない白石には住みたくありません。工業団地を整備するとのことですが、企業は来ないと思います。
 次、市長、財政難と言いながら、スマートインターチェンジ周辺整備事業に税金を使うのであれば、その前に刈田病院の存続が先でしょう。公設民営化は断固として反対です。市民の命と健康を守ってほしい。
 次、なぜ公設民営にこだわるのでしょうか。赤字と言っていますが、多くの公立病院も赤字だし、もともとは、市長が医療を軽視し繰出金を減らしたのが原因ではないんでしょうか。市民にも職員にも何の説明もなく、青写真も示さないで民営化を認めるわけにはいきません。市長なら、市民の声にもっと耳を傾けていただきたいと思います。
 以上が、市民・町民の刈田病院及び市長、管理者に対する感想、意見でございました。
 意見の中には、確かに赤字だから刈田病院の民営化は仕方がないという方々もいらっしゃいました。このように、市民・町民の方々が公立刈田綜合病院の将来に不安を抱いていることを指摘させていただきます。
 それから、組合解散についてでございます。
 先ほど述べましたように、公設民営化構想としての指定管理者制度を導入できる条例案は、2度も一市二町組合議会に否決をされておりますが、そのことで病院経営に混乱と空白を生むことは許されないことと考えられます。ここは、一旦、民営化の議論は一度棚上げし、経営再建について1市2町で協議することを提案したいと思います。
 まず一番に、今の患者をどうするかということを最優先として対処していただきたいと思います。そして、診療科目の回復、困難を生じた患者の支援、病院における労使関係の再構築など、その上での収支改善をすることが組合管理者としての市長の責務であると考えます。
 また、医療行政の本義の第一は、医療難民をつくらないことであります。診療の回復を急ぐと同時に、医師の確保を行い、現在、住民の方々が不安となって心配している救急搬送体制の拡充や遠距離通院の支援など、当面の補完策を早急に講じる必要があると思います。
 それから、刈田病院の一市二町事務組合は、白石から独立した行政機関であります。であることから、刈田病院を市の財政を基本とした市長の立場で説明せず、組合管理者として3つの市・町医療行政の立場で、刈田病院について住民に説明しなければならないと思います。その説明も正副管理者の合意と共有もないままに民営化や組合解散の提案をしたことは、あまりにも唐突過ぎたのではないかと指摘をさせていただきます。
 刈田病院の赤字は、公益費用の側面もあり、金額は必要医療と財政上の金額問題だけであって、負担できるかは、本市における他の事業との優先順位の選択にあると思います。つまり、予算における財政上の検証過程を公開せず、病院だけをやり玉に市全体の財政破綻を強調することは、ただ単に因果の飛躍と言わざるを得ません。
 それから、人口減少、高齢化が進む今後の地方行政については、重要で難しい問題ほど、より広域で集約し、確実に対処する方向に向かっていると言われております。しかしながら、今回の組合の解散は、時代の要求にまさに逆行するものであることを指摘させていただきます。
 そして、刈田病院の現在の内実に目を向ければ、短期間の経過の進展に、目を覆いたくなるほど衰退とも思われるごときの姿をさらけ出し、病院機能不全とも思われる声もささやかれるに至っております。少なくとも、このような現状に至った原因は、本市からの過年度における繰出金の減額と、合議体としての一市二町組合における正副管理者の合意がないままに山田市長が指定管理者制度導入による公設民営化を目指したことが誘因したのではないかと推察することを否定できないものとして、指摘をさせていただきます。
 それから、最後に、山田市長は、刈田病院の指定管理者制度に、経営上にある民営化をお題目のように唱え続けておりますが、民営化されれば、地域医療も財政面でも改善されるという一般論だけで、具体的な刈田病院の姿が全く見えません。
 急激な人口減少と高齢化社会の進展、医療の地域格差、白石市として進めるべき医療と福祉の密接した進め方、そのような課題の中心になるべき刈田病院の姿が全く見えません。
 そこで、公設公営でも公設民営であっても、一市二町組合病院でも白石市立病院であっても、刈田病院をどのような姿にしようとしているのか、1市2町の住民の方々に具体的な刈田病院の姿を青写真として見せていただきたいと思います。市民の安心・安全のとりでとなる刈田病院への物事は、何にも増して優先して考えるべきものであります。
 また、議題となっております令和4年度の当初予算については、スマートインターチェンジ周辺整備事業に係る費用など多くの課題はあっても、今一番重要で市民が期待するものは、白石市としてどれくらいの刈田病院関連予算を計上し、いかに刈田病院を再生するかにかかっているのではないでしょうか。確かに、刈田病院の当初予算においては、前年より改善された予算づけがなされておりますが、果たしてこれでいいのか疑問と言わざるを得ません。
 また、昨日、病院運営研究議員の会がありましたが、当局より指定管理者導入に関するスケジュールが示されました。内容は、今月の28日、病院議会に指定管理条例案を上程するとのことです。果たして、正副管理者の合意が得られての議案提出なのか、疑問であることを申し述べておきます。
 よって、先ほど来から指摘させていただきました刈田病院に係る物事を鑑みると、異議を示すのが筋であると考えることから、本議案には反対をいたします。
 以上のことから、第19号議案・令和4年度白石市一般会計予算案に反対であります。
 議員皆様方のご賛同をお願いいたしまして、反対討論といたします。

●採決の結果、賛成9,反対7により原案可決

Top